【 第40回あきた全国舞踊祭 感想 】
川村 泉
舞踊家
(秋田県)
肖像 昭和の時代から舞踊コンクールは常に流行というものがありました。「バッタリ倒れてゴロゴロと転がる」のが流行った時代、「ぐるぐる回り」という時代もあり、足の裏にパウダーをたたいてスタンバイする人も見かけました。最近の傾向は新体操やフィギアスケートの動き、ストリートダンスの床技も取り入れられ、アクロバティックな時代。アクロバットの習得に至る練習のストイックさは想像できます。しかし大勢がやるようになるとそろそろ潮時、無意味な動きは自然に淘汰される過渡期と感じました。

  ソロ部門は天才的な身体能力の小中学生が多く、あんなに完璧だとプッツンしないのかと案ずる一方、シニア部の方が小中学生の動きの延長で踊っていると、それは違うのではないか…と心配になります。「手で足を持ち上げること」「逆立ち系」その二つを排除した作品にチャレンジするのも一案です。コンクールという場所はそこを土台にして、何かに気づき舞踊を深める場、勝利とは上位入賞だけではなく、気づいたかどうかにあると確信しています。

  今回の最優秀群舞賞に輝いた蝙蝠を踊ったお二人は、小学生の頃から参加していたそうですが、沢山の気づきの積み重ねが作品を構築していました。拝見しながら、新型コロナウイルスの起源やジェンダーレスの風潮や鳥類と哺乳類の狭間にいる心境などを深読みして楽しみました。群舞2位のパタゴニア…あの若さのパワーとストレートに熱い気持ちは見ていて嬉しくなりました。3位の正論ヴァリエーションは衣裳の白と黒の変化が楽しいアイディアで「わかる!その気持ち!」共鳴できましたし、ダンサーの背丈や太さが揃ってないところが好きでした。また、鬼ノ城の大群舞の緻密な構成など、群舞は全般的にそれぞれの作風の違いが面白く、魅力的でした。

  昨年に引き続き、ウイズコロナ形式での「あきこん40」は皆様のお陰で安全に開催できましたこと、深く感謝申し上げます。何かご意見ご質問がありましたらどうぞ事務局にお寄せください。そして来年のエキシビション公演が更に個性あふれるものになることを願っております。新劇場での「あきこん41」をどうぞよろしくお願い申し上げます。

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Update:2021/12/30  

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