【 第40回あきた全国舞踊祭所感 】
加賀谷 香
 舞踊家
(東京都)
肖像第40回あきた全国舞踊祭出場の皆さま、大変お疲れ様でした。
全部門を通して、高いレベルに揃っていて難しい審査だったと感じます。

ジュニアの皆さんは、指導の先生方の意向や上位入賞者の傾向が、そのまま反映された踊りに向いてしまうと思います。同じ技巧の振付や同じようなイメージの衣装、作品に偏り仕上がっていくことが、今後のダンスにどう影響していくのか少々不安に感じました。

シニアの皆さんに於いても、ジュニア期の延長のように、柔軟性を優先した技巧的な振付に偏っているように感じました。今後様々な作品へのダンサーとしての参加、世界にも通じるダンサーとしての資質を意識していくにあたっては、どのようなダンスにも通用するバレエの基本要素や体づくり、体の使い方を見直すことも必要であると思います。

少し具体的なことをお話しますが、ウエストの柔軟性を優先した動きは、上半身と下半身を分断し、床に対しては安定はしますが、そのために空間を動かすことがしにくい潰れたような動きになります。お尻の大臀筋下部をターンアウトの方向にシェイプして引けた付け根を起こして使うことで、床を捉える足首足の裏から、脇や首の付け根まで繋がるのを感じることが出来るはずです。骨盤、付け根の強い張りを中心に動くことで、床の深さや空間の重さ広さを捉えることの出来る強靭でかつしなやかな身体を身に付けられると思います。

基礎的なことをしっかりと意識してトレーニングすることこそが、本当の自由な表現に発展していくのでは?と感じます。そういう努力こそは、作品のテーマや作家の要求についての理解力など、考える力にも間違いなく繋がることと思います。

長くなりましたが、魅力的なダンスの世界への今後の皆さまの、飽くなき探求とご活躍を心より期待しております!
頑張ってください!

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Update:2021/12/22  

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