【第37回あきた全国舞踊祭モダンダンスコンクールに想う】
石原 完二
 舞踊家
(京都府)
肖像

 昨今、モダンダンスのテクニックは非常に高くなってきていている。コンクールですので、テクニックは必ず必要ではあるが、その題材とは関係なく(というわけではないのであろうが)テクニックのみが強調されてしまって、人によっては内容をそっちのけで踊ってしまっているのでは、と思うほど技術力は高くなっている。

今年、シニア上位の方達は、自分の世界を見事に踊りで表現していたと思う。
1位受賞の田中さん、実に不思議な世界の中に的確なテクニックと滑らかさ、音が月の光(ドビュッシー)なので、いやが上にも見ている側をその異空間へ連れて行ってくれる。
2位のイカロス、太陽に近づき過ぎたイカロスが飛べないその不自由さの中で踊る、その動けないもどかしさや悲しさが興味を引く。
3位の砂の女は阿部公房なのかと思いきや踊りだしたらまるで砂で創られた女神のような踊りで、これも個性が前面に出て自らの世界が見事に表出されていた。

テクニックは重要ではあるが、同じテクニックでもいかにその題材に沿って繰り広げ踊られているか(これは常に作者は頭悩ますところ)である。どんな踊りにしろ、こう踊ると決まっていくのは作者(演者自身も含めて)とダンサー、創作の過程は長くて濃いものであると思う。


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Update:2019/1/17  

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