舞台いっぱいに受賞の喜び
山野 博大
舞踊評論家
(千葉県)
肖像

 【秋田】あきた全国舞踊祭のモダンダンスコンクールは日本でただひとつの現代舞踊だけのコンクールとしてすでに三十六回目。

 その結果が出そろったところで、多くの観客を集めたエキシビション公演が行われる。ここでは、コンクール全体の最高位のグラン・プリ受賞作品をはじめ、小学生以下のジュニア1部、中高生のジュニア2部、シニア部の三位までの作品の再演が行われる。さらに群舞部門の最優秀作品、子供たちの群舞で特におもしろく仕上がった作品に与えられる横山慶子賞の受賞作品、コンクールのスタッフが観客と共にもう一度楽しみたいという思いで選出する“あきたこまち賞”受賞作品などが、すべて照明つきの舞台で再演される。

 それだけではない。前年度のグランプリ作品、最優秀群舞賞作品の再演もあり、当年度と比較することもできる。これらを見た地元の観客は、今の現代舞踊界の最新状況を知ることができるわけで、会場は常に大入り満員ということになる。その途中に授賞式が組み込まれているので、各受賞者は、地元秋田の観客の大きな拍手に包まれて賞状を手にするのだ。

 それぞれの受賞者は、コンクールの緊張から解放され、受賞の喜びを舞台いっぱいに爆発させて晴れやかに踊る。今回のグラン・プリは、シニア部門第一位の『光のない…』を踊った田中麻友美(菊地尚子門下)だった。シャープな動きの美しさが、昨年の渡部悠(川村泉門下)のゆったりした動きの奥深さと異なる魅力を伝えた。群舞部門の第一位には『limited space』が入り、その大群舞が前年度の大前裕太郎・椎野純のデュエットとの違いを示した。その他、横山賞受賞のかわいらしい『お手前拝見』、秋田県芸術舞踊協会の『いつのまにか cha cha』などもにぎやかに踊られ、第三十六回あきた全国舞踊祭はその幕を閉じた。

山野博大 (2018年1月26日)オンステージより転載。

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Update:2018/02/03

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