2015 秋田総評
杉原 ともじ
(舞踊家)
神奈川県
肖像 2015のあきた全国舞踊祭・秋田全国モダンダンスコンクールも無事に幕を下ろし、例年に違わず内容のあるコンクールとエキジビションであった。

 歴史あるこのコンクールはジュニア部・シニア部に関してはもちろんだが、この数年充実して来た群舞部門は、この秋田全国モダンダンスコンクールの一つの顔であろう。
群舞部門の出場者の年齢は子供から大人まで混在している。
だから必然と作舞も指導者から舞手自身と千差万別だ。
作者が指導者の場合、自身より幼く拙い出演者全員に表現内容、運動の拘りや感情表現と、指導に並々ならぬ熱量を持たなければ、水準の高いものを保つ事は出来ないだろう。そこに辿り着き、昇華させている出場作品が多い事に拍手を送りたい。一方自身の作品である場合、個性的な作品を見る事の出来る群舞部門は、個々の現在の興味や思考、告発に啓示、哲学と作者達の脳内・心中を覗き見る事の出来るのが、鑑賞する客席の特権だろう。
この部門の作品群にはそうした作品が数多く、私を楽しませてくれる。

これはシニア、ジュニアにしてもそうだが、技術や素材を踏まえた上で内(心)に至る過程があるものにひかれるし、知性を感じる。側(がわ)のそれらしさで装ったモノや、無理矢理カテゴライズされたモノは面白さを感じない。自在にプロデュースされていようが、寄せ集めの盛り過ぎだろうが、過程からの成り立ちを納得させてくれるならば面白い。

この秋田で次もそんな作品に出会える事を期待している。

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Update:2017/02/21  

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