第 41 回あきた全国舞踊祭に想う
石原完二
舞踊家
(京都府)
肖像

今年で第 42 回を迎えるあきた全国舞踊祭全国舞踊コンクールであるが、ここ数年のコロナ禍であっても、あきた全国舞踊コンクールだけは開催を続けてこられた。

東京や神戸、埼玉や横浜で多くのコンクールがやむを得ず中止を強いられる中で、あきたは運よく続けてこられた。そのような事もあってか、あきたに参加される方は今年は、今年こそはという気迫に満ちているように思う。勿論常連の団体の方達は、コンクールに向き合う事というのはどのコンクールであっても同じであると思うが、ここ数年間のあきたのレベルの高さを見ていると、ついついその様に思えてならない。私は、コンクールは舞踊家育成という点では非常に良い機会だと思うが、最近はテクニックのレベルが高くなりすぎて(勿論テクニック部門ですので、それありきなのですが)少し不安になります。コンクールを通してダンサーとしての個性や佇まいが身についていく、その個性溢れるダンサーを形成していく大切な時期にこれでもかと、満杯のテクニックに何時か心身ともにすり減ってしまわないかと思ってしまう。然しながら審査する側はこのテクニックを大事な目安として見るのですから、話しとしては矛盾してしまいます。だからこそ題材とハイレベルなテクニックが如何にマッチしていけるか、そこが決まることで素晴らしいダンサーと作品が産まれてくるのだと思う。これが一番難しく悩む処ではある事を作者は皆様感じておられるところです。

芸術は伝統と革新を繰り返し成立していくものだと思う。永い年月の内に創り上げられ多様に変化を遂げてきた日本のモダンダンス。伝統とまでは言えないがモダンダンスの今の流行が定着してゆき、そこに革新というのがあれば、どの様にモダンダンス界は広がっていくのか?その事を考えていくと心がわくわくする。

お終いに、このコンクールを主催されている川村泉会長、実行委員の皆様方に感謝申し上げると共に、今後、増々多くの方々があきた全国舞踊コンクールに参加される事を願っております。


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Update:2024/01/04  

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