【 あきた所感 2020 】
水野 聖子
 舞踊家
(愛知県)
肖像 私の中では年末の一大イベントになっている秋コン…第39回秋田全国舞踊祭モダンダンスコンクールが今年も12月12・13日に開催され、そして無事に終了出来ましたことにまずは安堵しています。
 この2020年はコロナの影響で全国的なコンクールは軒並み中止が続き、誰もが「12月の秋田コンクールはどうなるのだろう…もしかすると秋田も中止かもしれない」と半分諦めながらその動向に注目していたことと思います。
 そんな頃秋田芸術舞踊協会より『感染予防策は万全にして参加者の安全確保を最優先に取り組んでまいります』と心強い通達があり、開催されることへの喜びと協会側の覚悟に胸を打たれました。毎年感心させられるこのコンクールのスタッフも今回ばかりはご苦労なさったことでしょう。全ての関係者の皆様に心から感謝申し上げます。

 さて、今年の秋田コンクールはコロナ禍にもかかわらず例年にないほど多くのエントリーがありましたが、その数にも勝る質の高さに驚きました。ジュニア2部は1位から16位までの偏差値差わずか100点。ジュニア1部に関しては21位まで100点差に収まっており、その激戦具合を伺い知ることができます。今年1年悔しい思いをしたダンサーたちの気合と執念そしてこのコンクールにかける緊張感が生み出した結果のように感じました。

 群舞部門は作品数も少なくやはりシリアスなテーマの作品が多かったように見受けられました。個人的には、こんな時だからこそコンクールやエキシビションで見る群舞は人数だけでなく若さとパワーを感じる明るいテーマやユーモアのある作品でこのパンデミックの重たいムードを吹き飛ばしてほしいと思っていました。もちろんダンサーひとりひとりの身体のコントロールや訓練ができている事は当然ですが作品や音楽、衣装に妥協がないことも評価の対象で、翌日、エキシビションの舞台に立つ条件としても特筆すべき点だと考えています。

 コロナ禍にありながらエキシビションの観客の多さにも驚かされました。上位入賞者が照明付きで数倍も魅力的に見える素晴らしい空間を、今年も例年通り変わらず沢山の方々と共有できた事は、今では特別な事のように感じざるをえません。そんな大変で素晴らしい舞台を今年もフツウに、そして39回も続けてこられたこのコンクールはオバケだ!と思いました。

 今年も雪の秋田で、私自身の芸術家としてのポリシーとは一体何なのか、自問自答しながらそれを貫き審査をさせていただきました。そんな大切な場所を守っていただいたことに今一度、感謝申し上げます。

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Update:2021/01/02  

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