審査の感想
川村 泉
舞踊家
(秋田県)
肖像

 審査の時間は何曲も続くと退屈になるのではないかと心配でしたが、出演者の真剣な気持ちに引っ張られてあっという間に過ぎました。点数と氏名が公開されることは緊張しますが、踊り手の意気込みに応えられるように、こちらも真剣に採点させていただきました。ほとんど一点差で点をつけたのですが、偏差値になると10ポイントも差があったりするので、微妙な気持ちを表現しきれないところが点数の難しさだと感じました。

ジュニア1(小学生以下)
 この部門は先生の指導が大きく影響します。作品としてまとまったものが上位になりましたが、順位よりもその作品を練習して本人が何を得たか、が大事です。私も指導者として長いのですが、小さい頃の賞はjokerを引いたようなもの~良いことばかりではありません。指導者も過保護にならず放任しつつも見守るような指導がいいのでは…。動きのレベルは毎年高くなっておりますが、この場を踏み台にして伸び伸び成長してほしいです。

ジュニア2(中高生)
 中高生になると、どうしてこんなに大人になっちゃうのかな?と不思議に感じるほど小学生の部と違いました。きっと振付指導の先生方も部門が別なので少し大人のテーマを…と意識してしまうからでしょうか。体も心も成長期でテーマも流動的な時期です。可能性をたくさん秘めた輝く素材が一杯でした。この才能が開花したらどんなにすごい花を咲かせるかと思うのですが、ここからの舞踊の道は険しくなり、舞踊の奥深さを知っていくのだと思います。どうぞコツコツと歩み続けられますように。

シニア
 シニアの部門は引き込まれる作品が多く、上位10作品くらいはどれが1位になっても異論はありませんでした。作品の半分あたりまですごく魅力的なのに途中で魔法がピタッと途切れ、あらら…?ていう感じのものが何曲かありました。舞台の上は本当にデリケートな世界です。集中力が続いたその人の踊りが見たいと思いました。また、かなり高レベルな動きをしているのに輪郭がクリアでないので、動きに気持ちが乗らずに通り過ぎていく…もったいないと感じました。たった一つの動きを徹底的に磨くだけで作品が格段に魅力的になることがあります。これからも注目したいダンサーがたくさんおり、またどこかで拝見するのを楽しみにしております。

群舞
 「翌日のエキシビション公演で観客が満足する作品」ということを念頭に採点しました。今年は例年より群舞として充実した作品が多かった気がしました。「ソロと群舞を一緒に採点するのはおかしい」という意見で2009年に群舞部門が新設されました。どうしてもデュエットの質が高まりやすく、最優秀はデュエットになることが多かったのですが、今回は15名の群舞が最優秀賞になりました。空気を読めない人ってよく話題になりますが、群舞は空気が読めないと踊れません。そこが群舞の面白さでもあります。実行委員会では群舞とデュエットの扱いについても再検討の予定です。どうぞ秋田にいらっしゃるついでにソロと群舞を踊って楽しんでください!


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Update:2018/02/03

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